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2018年12月09日 [からだのこと]

(93)サンデーイルネス(仮)胸郭出口症候群について

お疲れ様です。院長です。

12月9日のサンデーイルネスでございます。

さぁ、日々寒さが増して、本格的に冬感満載ですなぁ〜。

再来週は、もうクリスマスですし、そりゃ寒くもなるわな。

ボチボチ忘年会もピークでしょうか、世の中が少々浮かれ出してきましたね。

ハロウィンとはまた違って、ジワジワくる盛り上がりがクリスマスの底力ですな。

老若男女誰しもが、何となく浮かれだし、そしてそのままのテンションで年末〜年明けとテンションはマックスになっていくわけです。

その前に、大掃除だの年賀状だの、やることやれや〜って声が聞こえてきそうですが、そこはまぁ、やるからやるから(笑)

ってな微妙な浮かれモードで始まりましたが、今週のイルネス辞典は「胸郭出口症候群」について解説していきたいと思います。

まずはどんな病気かってことですが、鎖骨周辺で腕神経叢(わんしんけいそう)という腕や手指に行く末梢神経の束が、腕や手指に行く鎖骨下動脈や鎖骨下静脈という血管とともに圧迫されて起こる病気です。

心臓から続く血管が、胸郭を出た所で神経とともに圧迫されるので、この名前がついてます。

首や肩・腕を特定の位置にもっていくと、腕や手指にしびれやだるさ、痛みなどが現れます。

首が長くなで肩の若い女性に多いと言われていたんですが、近年筋肉質過ぎるタイプの人にも起こるという事が分かってきております。

一般的には知られておりませんが、日本の有名なボディビルダーの方が、つい2年程前にこの病気に罹って、大変な苦労をされてるって雑誌の記事を読んだことがあります。

その方の場合、腕に力が入らなくなり、特に「押す動作」が全く出来なくなったそうです。

「押す動作」とは、例えば「ベンチプレス」などの動作で、ほぼ力が入らなくなったそうです。

逆に「引く動作」は特に筋力が落ちることなく行えたとも話しておられるので、これも特徴的だと思います。

では、この病気の原因ですが、首には食道や気管、神経や血管、筋肉など多くの組織が密集しています。

腕を司る神経や血管は、胸郭出口と呼ばれる部分を通って、首から目的地である腕に向かって走行しています。

胸郭出口を通過する重要な神経として腕神経叢ってのがあります。また、主要血管として鎖骨下動脈や鎖骨下静脈があります。

主にこの3つ、「腕神経叢」「鎖骨下動脈」「鎖骨下静脈」のいずれか、もしくは複数が何らかの事情で圧迫されてしまうわけです。

胸郭出口にはいくつかの物理的に狭い空間が存在しており、こうした場所で神経や動脈が圧迫されることがあるわけです。

で、さらに細かく言うと、その圧迫される場所により、また個別の名前がついてたりします。

これがまたややこしいんですが、以下の4つの症候群を総称して「胸郭出口症候群」と称するわけです。

まずは、前斜角筋と中斜角筋という首の筋肉の間で圧迫されると「斜角筋症候群」、鎖骨と第1肋骨の間で圧迫されると「肋鎖(ろくさ)症候群」、小胸筋を通る時に圧迫されると「小胸筋症候群」、頸椎にある余分な肋骨で圧迫されると「頸肋(けいろく)症候群」といいます。

神経や血管が物理的な圧迫を受けて生じる胸郭出口症候群ですが、なかには、頚肋けいろくと呼ばれる先天的な肋骨の遺残物が原因となって発症することもあります。

頚肋が存在すると、腕神経叢や鎖骨下動脈がより一層圧迫を受けやすい状況になるため、胸郭出口症候群が発症します。

胸郭出口症候群は長時間、悪い姿勢で座っていたり、睡眠不足やストレスなどが重なったりすると発症しやすくなるとも考えられています。

また、なで肩であることや、重いものを持つ習慣も発症に関連すると考えられています。

この重いものを持つ習慣ってのが、さきほど紹介したボディビルダーの方なんかの場合は当てはまるんでしょうな。

ですが、そんな人なら世の中にたくさんいますし、まぁ偶然みたいなもんですな。

ではどんな症状が出るかといいますと、いわゆる肩こりとして自覚されることがあります。

腕や手に分布する神経や血管が圧迫されることで発症するため、神経症状として首や肩、腕にしびれやちくちくする感覚、刺すような痛みを覚えることがあります。

神経症状はさらに手先や体幹にもみられることがあり、神経障害が持続すると、筋力の低下もあらわれ、それに随伴して運動機能にも影響が生じます。

具体的には、手の握力の低下、巧緻性(こうちせい)の低下(指先が不器用になる)などです。

血管の症状としては、血行の悪化から皮膚が白くなったり、青紫色になったりします。血行障害で痛みや感覚障害が誘発されることもあります。

ですから、筋力が低下するとなると、かなり症状が進行してしまってるわけで、最初は肩こりかな〜とかから始まるわけです。

では治療法ですが、発症予防と保存療法が中心となります。

姿勢の悪さが胸郭出口症候群を誘発することがあるため、良好な姿勢を保ちます(ときに装具を使用することもあります)。

また、重いものを持ち上げることも要因であるため、可能な限り重いものを持たないようにします。

さらに、睡眠不足やストレスとの関連性も指摘されており、規則正しい生活スタイルを確立することが重要です。

以上のような予防策に加えて、症状が現れているときには消炎鎮痛剤などの対症療法薬を使用することもあります。

肩周辺の筋肉のストレッチやトレーニングも有効です。

まぁいわゆる「コリ」や「張り」が圧迫の原因となっている可能性があるわけで、これらを取り除くという意味の運動を含めた療法は有効でしょう。

また、胸郭出口における神経や血管に対しての物理的な圧迫が強い場合には、手術療法を選択することもあります。

筋肉の腱を切除したり、肋骨の一部を切除したりすることで、物理的な空間を広げます。頚肋が原因となっている場合には、頚肋を切除することもあります。

まぁ、ここまでいくのは余程のケースで、大体は時間経過とともに症状が緩和されていきます。

ですが、基本的に生活習慣や運動習慣の中で起こる疾患と考えられるので、その点を改善しないと再発するケースも多い様です。

早期に治療するためにも、首や肩を特定の姿勢にすることでしびれや痛み、手指の色の変化が現れたら要注意です。

いかがでしたか?

肩こりかと思っていると、段々痺れがひどくなり、しまいには筋力低下を起こすー…

比較的誰にでも起こる可能性がありますし、注意するに越したことありませんからね。

では来週のイルネス辞典をお楽しみに〜





kyokaku




京都 中京区 円町 弘泉堂鍼灸接骨院


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